オフィスの甘い罠
キッパリと言い切ったが、
三浦は一拍の間の後困った
ような笑みを浮かべて、



「僕が言ってるのは、そう
いうことではないんだ
けれど……」



「え?」



キョトンとする柊弥に、
三浦はアゴに手をやって
少し考える仕草をした後、



「……上司と秘書は二人で一人。

二人三脚みたいなもの
ですからね」



と、仕事中の言葉使いで
つぶやくように言って、
それ以上は何も話すことは
なかった。



三浦の態度に気がかりを
感じながらも、柊弥は
とにかく自分が問題ない
ことを示さなければと思い、



「本当に大丈夫だから!

だから二人は心配しないでくれ。

お互いの仕事を、キッチリ
やってこーぜ」



そう言って二人の肩を
ポンポンと叩いた。
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