オフィスの甘い罠
「なるほどな――…」



柊弥の返答を聞いた
三浦は、何度か小さく
頷いてつぶやく。



そしてパッと顔を上げると
まっすぐに柊弥の目を見て、



「それは、キミの心が
彼女を求めてる。
そういうことだろ?

つまりキミは、彼女に
惹かれてる」



「三浦さん―――」




わかってる。



惹かれてるなんてことは
最初からわかりきってるのだ。



そうでなければ、キスも
肌を合わせたりもしない。



だけど………
だけど、それは……。



「―――だけどそれは
恋とは違う。

――そう思ってるのか?」



まるで心を読んだかの
ような言葉に、柊弥は
今度こそ驚きに目を
見張って三浦を見る。



三浦は『そんな顔するなよ』
と笑って、



「キミの考えてること
なんてだいたいわかる。

もう何年も色々見て
きてるんだから」
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