オフィスの甘い罠
「なんですって―――!!?」




――もう、止まらなかった。



長年の鬱積なのかなんなのか。



わかんないけど、あたしは
感情をむき出しにして
彼女とつかみ合いを始めた。



離れた所で待ってた彼女の
連れが駆け寄ってきて、
あたし達を止めに入る。



騒ぎに気づいたのか
店からも何人かスタッフが
出てきた。



どんどん騒ぎが大きく
なってるのはわかってた
けど、もうどうしようも
なかった。



つかまれれば払い、逆に
もう何発か叩いてやろうと
自分からも手を伸ばす。



邪魔する周囲の手もよけ
ながら、そんなことを
しばらく続けてた時――…。




「………梓っ!!」




周りの制止の声に混じって。




聞き覚えのある……低くて
懐かしい声が、聞こえた。
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