オフィスの甘い罠
その手にムリヤリ引っ張ら
れてよろめきつつ歩き
ながら、あたしは柊弥に叫ぶ。
「辞めるって……どーゆー
ことよ!?
なんでアンタがそんな
こと……!」
さっきは自分で辞めなきゃ
って思ったくせに矛盾
してるけど、責めるように
そう言うと、
「うるせーっての。
――オレはあの辞表、
受理なんかしてねーぜ。
だから、迎えに来たんだ」
「……………!!」
ドキン、と。
心臓が、これ以上ない
くらいに跳ねた。
その驚きの感情の中に……
それとは違う別の感情が
混ざってることに、
あたしは気づいてた。
切なく、甘く、胸を
締めつける苦しさ。
この気持ちの正体は――…。
「ホラ、さっさと歩けって。
追って来られたら面倒
だから、車乗っちまうぞ」
れてよろめきつつ歩き
ながら、あたしは柊弥に叫ぶ。
「辞めるって……どーゆー
ことよ!?
なんでアンタがそんな
こと……!」
さっきは自分で辞めなきゃ
って思ったくせに矛盾
してるけど、責めるように
そう言うと、
「うるせーっての。
――オレはあの辞表、
受理なんかしてねーぜ。
だから、迎えに来たんだ」
「……………!!」
ドキン、と。
心臓が、これ以上ない
くらいに跳ねた。
その驚きの感情の中に……
それとは違う別の感情が
混ざってることに、
あたしは気づいてた。
切なく、甘く、胸を
締めつける苦しさ。
この気持ちの正体は――…。
「ホラ、さっさと歩けって。
追って来られたら面倒
だから、車乗っちまうぞ」