オフィスの甘い罠
「あっ………!」



柊弥がさらにグイッと
あたしの手を引いて、
車道ギリギリまで出ると
タクシーを停めた。



もうあたしは抗議の言葉もない。



促されるまま、停車した
タクシーに乗り込む。



あたし達を乗せた車は、
ネオンのきらめく虚像の
街をゆっくりと滑り出し……


窓の外に人間達の一夜の
姿をシネマのように映し
ながら、静かに走り続けた。





     ☆☆☆☆☆



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