オフィスの甘い罠
長ったらしい説明にも
丁寧に相槌を打つ柊弥の
声が聞こえてた。



「経営戦略には直接影響は
ない部署だけど、経理を
になう点ではあなたも
お世話になる部署よ。

覚えておいてね」



説明の後の社長の言葉に、
ハキハキとした声が答える。



「わかりました。

佐々木課長。他、総務部の
皆さん。

副社長に就任しました
高城柊弥です。
どうぞよろしく」



「よろしくお願いします!」



周りは声を揃えて返事した
けど、あたしは声を
出さずに頭だけ下げた。



柊弥の顔は全く見てない。



このまま早く去ってくれる
のをひたすら願ってた。



だけど――…。



「……あ。
総務部ってことは――
保険の手続きなんかは
ここで?」
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