オフィスの甘い罠
その柊弥の声に、あたしは
心臓が破れそうなくらい
ドキリとする。



質問には佐々木課長がすぐさま、



「ああ、そうですね。

副社長にも社会保険と厚生
年金に入って頂くことに
なりますから。

至急書類を準備して、
お届けしますよ。

ええと、保険担当はたしか――」



(ちょ……待ってよ、
なんで今―――!)



心の中で叫んだって
どうしようもなかった。



まるで悪魔がイタズラ
してるんじゃないかって
気になってくる。



「――香川さんだったよね?

申請書類の準備、至急
お願いできるかな?」



何も知らない課長の声が
うらめしい。



逃げ出したいのを必死で
こらえて、あたしはほんの
少しだけ顔を上げ、



「……はい……わかりました」
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