大好きな君にエールを*番外編
「だけど、今から荒嶋が変わっていくなら、俺は書いてやるよ」
監督……ってえ?
「あの、何を書くんですか?」
「……あ」
しまった、というような顔をする監督。俺はじぃっと監督の顔を覗き込んだ。
「わかったって。書くって言ってんのは推薦書。……実は、声が掛かってんだよ」
「へ?」
「花龍からお前に」
思考停止してしまった。今…何て?
「お前みたいな人材がほしいんだと」
「ほ…本当ですか?」
「嘘はつかん」
花龍から…あの憧れの花龍から…声が掛かっているなんて、夢みたいだ。
「浮かれるなよ。まだ少し、声が掛かったくらいなんだからな」
「は、はい!」
「よし。とにかく今は大会のことを考えろ、いいな」
「はい!」
今日の練習で一番大きな声が空を駆け抜けた。