コスモス
……………
映画館は、日曜日だからか異常に混んでいた。
人の波に飲まれないように、しっかりと明日可の手を握る。
「まじ人多いし…明日可、飲み物いる?」
斜め後ろを必死についてくる彼女に、僕は少し大きな声で聞いた。
「ううん、いらない!」
明日可も声を張り上げる。
そうでもしないと、アナウンスと雑踏にかき消されてしまいそうだったからだ。
ふと横を見ると、僕等と同じ年くらいのカップルがいた。
僕等と同じ様に、彼氏は彼女の手をしっかりと握っている。
普通のカップル。
僕等と同じカップル。
…なんとか席につき、僕等はほっとため息をついた。
明日可と目が合う。
ふっと2人は微笑んだ。
しばらくして映画の上映が始まった。
肘掛けの上で、僕等はそっと手を重ねる。
薄暗い映画館。
スクリーンの光に照らされる明日可の横顔を盗み見ながら、僕はなんだか安心していた。
何も変わらない。僕等は普通のカップルと、何も変わらないんだ。