コスモス


明日可の言わんとすることが、ようやくわかった。
と同時に、胸の奥が締め付けられる。

…明日可は、僕のために普通のデートを望んでいたんだ。

明日可は普通の人が出来る事が出来ないことが多い。
それをずっと気にしていたじゃないか。

僕のために、なるべく『普通』の彼女でいたかったんだ。

「でも、やっぱ薬とかあるし…どうしてもみんなと同じにはなれないよね…」

明日可の頬に影が落ちる。
ズキンと、心臓が痛む。


…僕は今日、何度『普通のカップル』を意識した?

僕がそれを意識すれば、明日可にもそれが伝わる。
僕は今日、どれだけ明日可にプレッシャーを与えてしまったんだろう。

明日可が『普通のカップル』を望むことがあっても、僕がそれを望んではいけなかったんだ。

目の前で顔を夕日色に染める明日可を前に、僕は今日の自分を殴りたくて仕方なかった。


普通のカップルができることができなくたっていいじゃないか。

僕が望むべきなのは、『普通のカップル』なんかじゃなかった。


明日可がそばにいることだった。




< 111 / 449 >

この作品をシェア

pagetop