コスモス

「…いや…うん。ここはやめよ。心臓に悪いじゃん」

ふいに明日可の手を取り、その場を去ろうとした。
明日可がその言葉に反応する。

「…あたし、これくらいなら平気だと思うけど…」
「いや…じゃなくて」

明日可の言葉を遮る僕。
明日可の顔を見ずに、ゆっくり呟いた。

「…俺が…その…無理なんだよ。ホラーとか…こういうの」

…ダサいと思う。
かなり間抜けだ。
それでも、ここはどうしても入りたくなかった。
入ってしまえばきっと、今よりダサくて間抜けな僕がいる。

断言できる。

恐る恐る後ろを振り向くと、きょとんとした明日可がいた。

2人の目が合う。


…先に吹き出したのはどっちだったか。多分、殆ど同時だっただろう。

僕等はお化け屋敷の前で大笑いした。

「あははっ、シュウ、ホラーだめって…こ、これくらいのお化け屋敷で…っ」
「わ…笑うなって、ははっ…くるし…っ」

僕等はお腹がよじれる程笑った。
途中からは、なにが面白いのかもわからなくなっていた。

お化け屋敷の受付の子が、不思議そうな顔をして見ている。


…なんだかわからないけど、凄く幸せだった。


凄く、幸せだった。










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