コスモス


僕等は、ゆっくりと離れる。

そっと明日可の目元を拭い、僕は言った。


「…これ…俺からの餞別」


手に握った小さな紙袋を渡す。
一瞬僕の顔を見て、視線を紙袋に移す明日可。

「…何?」

ガサッという音の後、明日可の動きが止まった。


「これ…」


紙袋の中から、明日可はそれを取り出す。



…それは小さなアルバムだった。



一枚一枚それをめくる。


「…すごい…」


















…全て、コスモスだ。

アルバムに詰まっている写真は、全てコスモスが写っていた。

一面雪景色の中に咲く、白いコスモス。


「…明日可、ウインターコスモス見たことないって言ってただろ。咲いてるとこ探して…今、撮ってきた」

髪をくしゃっとしながら、僕は呟いた。




< 342 / 449 >

この作品をシェア

pagetop