コスモス


「あ、あたしがねっ!」

…口を開いたのは、ミキではなく明日可だった。
視線が一気に動く。

「明日可?」
「あたしが、その…運動苦手なんだ。足、遅いし…。だからミキが気を使ってくれて…」

明日可はばつが悪そうに、俯いて答えた。
ミキが口を開きかけて、でもすぐにつむぐ。

「…なんか意外。瀬堂って、何でもできるんだと思ってた」

そう言ったのは、カズだった。
それを皮切りに、沈黙が薄れる。

「運動神経よさそうなのにな」
「ほんと、チカのがよっぽど鈍そうなのに」
「誠ちゃんひどっ!」

思わずみんなが笑った。
一瞬沈みかけた空気が元通りになる。

「んじゃ、かくれんぼにするか!言っとくけど、俺強いぜ?」

タケが腕まくりをしながら自信満々に言った。

ガヤガヤと騒ぎながら、僕たちは外に出る。

僕は、最後尾を行く明日可に声をかけた。


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