コスモス

突然の声に振り向くと、部屋から明日可がちょうど出てくるところだった。

「ああ、蚊取り線香探しに」
「あたしも一緒に行っていい?」

よく見れば、明日可は手にカバンを持っていた。
少し遠慮がちに呟く。

「車にポーチ忘れちゃったみたいで…」
「じゃあ、俺ついでに取ってくるよ。どんなの?」
「ううん、自分で取りいくよ」
「いや、でももう外結構暗いし…」

そう言ったのは、僕だった。
思わず言ってしまった一言。

…いくら相手がカズでも、他の男と2人きりになんかさせたくない。

そんな感情が、意図も簡単に顔をだしてしまった。


「…ほんと、ついでだし俺取ってくるよ」

僕の気持ちを察してか、カズは1人で行こうとした。


「もーっ、わかってないなぁっ!」


そう突然言ったのは、部屋からひょっこり顔を出したミキだった。

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