コスモス


……………

「瀬堂、ポーチあった?」

車に着いたカズと明日可は、それぞれの忘れ物を探していた。
明日可はひょこっと車から顔を出す。

「うん、やっぱ忘れてたよ。カズ君は?」

カズは車から出てきた明日可に、探し当てた蚊取り線香を見せた。

「んじゃ、帰りますか」




…2人は帰路についた。
星はまだ見えないものの、辺りは随分と暗さを増している。

「メール?」

帰りながら、カズはメールを打っていた。
液晶画面から発せられる光が、カズの端正な顔立ちを際立たせる。

「うん、修平に。瀬堂のことについてちょっとね」

ニヤリと笑って、カズは言った。
携帯をパカンと閉じる。

「あたし?何何?」
「さぁ~何でしょう?」
「も~っ」

明日可はカズの背中を叩いた。
カズの笑い声が、ロッジまでの一本道に響く。


「ねぇ、そういえば気になってたんだけどさ」

膨れっ面をしていた明日可だが、突然思い出した様に話題を変えた。

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