コスモス
…病院の廊下には、明日可のお父さん、お母さん、そして誠さんがいた。
「誠さんっ!」
ソファーに座っていた3人の顔が、駆け寄ってきたミキの方を向く。
誠さんは、ゆっくり立ち上がった。
ミキは無我夢中で彼のシャツを掴む。
「明日可…明日可はっ!?」
「…大丈夫。もう落ち着いたから」
優しい声で、ミキをなだめる誠さん。
安心と同時に、視界が歪むのがわかった。
「ミキのせいだ…。ミキが大丈夫なんて言ったから…ミキが…っ」
「ミキのせいじゃない」
「でも…っ」
「ミキちゃんのせいなんかじゃないわ」
そう言ったのは、明日可のお母さんだった。立ち上がり、ミキの方へと近づく。
「おばさん…」
「あたし達が、もっとしっかりしなきゃいけないの。あの子…明日可がね、ミキちゃん以外の友達と一緒に外泊したいなんて…そんな事言ったの初めてでしょ?だから…嬉しくて…」
おばさんの目が、赤くなるのがわかった。
「…明日可がこんな状態の時に、呼べる友達がミキだけだからさ…」
誠さんが言った。
…そうだ。
須川君に、伝えなくちゃ。
「あのっ…」
ガチャリと、廊下に響く。
ミキの言葉は、病室が開く音に制された。
中から、先生と看護師さんが出てくる。
みんなが、一斉に近寄った。