コスモス
明日可のお父さんが、口を開く。
「先生っ明日可は…」
「明日可ちゃん、目を覚まされましたよ。行ってあげて下さい」
みんなの肩の緊張が、とけた。
一斉に病室に入る。
病室の中には、酸素マスクをつけた明日可がいた。
うっすらと目を開けて、こっちを見る。
…よかった。
「明日可」
「明日可ちゃん」
みんなが明日可の元へと集まった。
明日可の口が、ゆっくりと動く。
「…心配…かけて…ごめんね…」
マスクに邪魔されながらも、明日可の声はミキ達に届いた。
「…ミキ…」
明日可がミキの名前を呼ぶ。
「何?」
ミキは明日可の目線と同じ高さになるように、ベッドの横に膝をついた。
明日可の顔が、ゆっくりとミキの方を向く。
ゆっくりと、でも確実に、明日可の口は動いた。
明日可の顔を見つめる。
「シュウには…」
「え?」
「シュウには…言わないで…」