コスモス
……………
病院からの帰りは、誠さんが送ってくれた。
日はまだ昇っていない。
車内は、明日可の好きな洋楽が響いていた。
それを聞きながら、ぼんやりと考える。
『シュウには言わないで』
「…ミキ」
誠さんの声で、我に返った。
気づいたら、そこは家の前だった。
「あ、ありがとう。わざわざ送ってくれて…」
なるべく明るく言いながら、ミキはシートベルトを外した。
ドアを開けようとしたミキを、誠さんの言葉が止めた。
「さっきの明日可の言葉…」
振り返るミキ。
誠さんの真剣な表情が、暗い車内に浮かぶ。
「もし…もしミキが必要だと思うんだったら、知らせてあげて欲しい」
誠さんの目は真っ直ぐにミキを見た。
やっぱり明日可と似てると思った。
「あいつを…明日可を、ミキ程思ってくれてる奴がいるんなら…知らせてあげて欲しい」
「…うん…」
ミキは、頷くことしかできなかった。
何が一番、明日可のためになるんだろう。
ミキが明日可のためにできること。
2つの選択肢が、脳裏に浮かんでは消えた。