コスモス
……………
明日可が学校にこなくなってから、もう二週間が過ぎた。
あれから、明日可からの連絡は一度もない。
電話もメールも返ってこない。
不安を通り越して、僕は半ば諦めていた。
明日可に何かある。
それは、付き合う前から感じていたことでもあり、避けていたことでもあった。
ミキに聞けば、わかるかもしれない。
でも、知りたくないことを知らされそうで、僕は怖くてできなかった。
カズに言われた言葉が、耳に痛い。
『逃げてる』
…放課後のチャイムが響いた。
僕は、誰とも話さずに教室を後にする。
カズ達が心配してくれているのは、わかっていた。
でも、僕には何も言えなかった。
だって僕は、何も知らない。
重い足取りでげた箱に向かった。
下駄箱の前の廊下で、ふと顔を上げる。
柱に浮かぶシルエットに、どこか既視感を覚えたから。
…明日可?
「須川君」
小柄な女の子がこっちを見ている。
…ミキだ。
「話が、ある」
真剣な表情は、僕もミキも同じだった。