月待ち人
友達と用事が有ると言ったツキと駅で別れた
オレは一人うす暗い道を歩いていた 。
その数分後…ケイタイに彼女の名前が出てみたら違う声が入ってきた…

ツキの友達の声

「奥出くん駅に戻れる?桜月がケガしたの」

彼女の言葉に不安を覚えながら来た道を全速力で戻った。
すでに駅には人だかりになっていて、エスカレーター辺りは騒然としていた。

「奥出くん」
「ツキは?」
「一応頭打ったから病院につれてがれた。対した事無いと思うんだけど…」
エスカレーターに乗ろうとした時にドミノのように崩れてきたらしい。

取り敢えず二人でツキが運ばれた病院に向かうと既にツキの両親とウチの両親…姉ちゃんまで勢揃いしてた。
「やっと来た。遅かったじゃない」
母さんがオレ達の荷物を取り空いてる長イスに置いた。

ツキは元気みたいだ…特に問題も無さそうで本当に良かった

オレがツキの髪に触れようとした瞬間
耳を疑う言葉が彼女の口から零れ落ちた
「おばちゃん…この人誰?」
オレだけじゃなく誰もが耳を疑ったはずだ。

「桜月…何言ってんの?奥出くんだよ」

「奥出?鈴姉ぇと同じ名字なんだね」
姉は困ったようにそうだねと笑ってみせた。
「由奈…好きそうだもんね。奥出君みたいなタイプ」
ニコニコと笑うツキ
「違うよ…奥出君は」
ツキがあまりに嬉しそうに笑うので彼女は何も言えずに口を閉じてしまった。

「由奈…?何言いかけてたの?」

「ゴメンなんでも無い」
苦笑めいた表情で否定をすると彼女はゆっくりと視線をオレに向けて来た

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