らっく!!
「あんな感じでよかったの?」
紘一さんは自分の役割をそつなくこなしてくれて、言うことなしだった。
「ありがとうございました。紘一さんのおかげで何事もなく帰ってもらえそうです」
「それはどうかな~?」
紘一さんは大原さんが出て行った扉を軽く横目で確認した。
「ねえ美弦、何も知らない人間と最初から言動を疑ってかかってくる人間。どちらのほうが騙されやすいと思う?」
はい?
いきなり何の話…?
そう思いながらも質問の答えを捻り出す。
「……何も知らない人…?」
紘一さんは足を組み直し、更に続けた。
「彼女はどちらの人間かな~」
大原さん…?
紘一さんの言いたいこと…少し分かった気がする。
納得したように見せかけて大原さんだってきっと心の何処かで私達の言ってることが本当なのか疑ってる…。
彼女が悪い人じゃないだけに余計に罪悪感が募って、最後には私は自分で自分の首を絞めることになる…。