<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
 今日もここを通りすぎる。

 なんだか名残惜しいが。

 とにかく、駅に向かわないと。

 左手首にある腕時計を見る。

 まだ余裕はあるけど、遅延とかあるからとにかく駅へ。


「先輩。」

 この低い声は・・・。

 すっかり桜より背が高くなった海翔ではないか。


――げっ!――

 逃げたい。けど足が思うように動かない。

 逃げても逃げてもいつも追いつかれるから?
 それとも、まだ海翔のことが好きだから?

 いや、桜は海翔を諦めたつもり。

 でも、まだ心の中では思っている。

 心臓がバクバクする。
 冷や汗が吹き出しそう。



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