歌姫はギタリストに恋をした゚*。㊤
チ――ン……‥


エレベーターの扉が開く。




「…ハイ。ごちそうさまでした〜」

「あ…ちょ、ちょっと!」


棒読みで言って、スタスタとエレベーターに入りボタンを押す紅。

私はドアに挟まれそうになりながら、エレベーターに乗り込んだ。






「……んで?どうすんの?バレンタイン、カレー作るの?」

「う‥ん。作ろうかなって思ってる・・バレンタインにカレーって変かな(汗)?」

「まぁ、変かどうかは置いといて……甘いもの苦手だったら仕方ないんじゃない?…好きなもの作ってあげるんだから、五十嵐くんもきっと喜んでくれるよ!」

「そう‥だよね!ありがとう、私頑張るよ!!」

「頑張れ!家にカレーのレシピ本あるから貸してあげるよ♪」

「本当!?ありがとう!!」


私は紅に抱きついた。




チョコじゃないけど関係ない。

カレーにありったけの愛を込めて、慶にプレゼントするんだ。



ホワイトデーはいらないよ。

もう先にもらったから…



私は貝殻を、ぎゅっと握りしめた……
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