歌姫はギタリストに恋をした゚*。㊤
「えっ?あ…ちょっ・・・!」


そして五十嵐さんは、また自分のキャップ帽を私に深くかぶせると、私の腕を引っ張ってBARを出た。

私はただドキドキしながら五十嵐さんに引っ張られ、駅前のタクシー乗り場まで歩いた。






……………
…………


「・・・・」

「…………」



タクシーの車内。

私と五十嵐さんはお互い口を開かず、車内でかかるラジオだけがやけに耳につく…

私はバックミラーで、ちらちらと五十嵐さんを気にしながら、ただドキドキしているしかなかった。



こんな展開…誰が予想してたんだろ?

今日はドキドキすることがありすぎて、心臓がもちそうにないんだけど……





「お客さん。この辺でよろしいですか?」




タクシーの運転手が、クルッとこっちを向いて言った。

タクシーの中から外を見渡すと、私の家から近い公園の前にいた。



「あ、はいっ。ここでいいですっ!」
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