17歳の不良と6歳の殺し屋

修行ッ!!

朝早く、翡翠はガタガタと騒音を起こし、何やら準備をしていた。
それに起こされた雫は眠い目を擦りながら大あくびをする。

「…うるさい……」

ぼやけた視界ではこの翠色の小さな少女が何をしているのかがわからない。
だが、追求した所で状況は変らないだろう。

雫はこの騒音から逃げるように部屋を出て行こうとした。

「雫」

しかし、出る直前に呼び止められる。

「ん~?」

掠れた声で応えると、小さな溜息が聞こえてきた。

「お前…その格好で寝るのはなんとかならないの?」

「ん?」

言われて雫は自分の姿を見る。今は夏ではない。その為、下は薄手のジャージを穿いている。もちろん、翡翠はそこには突っ込む事は何もない。ジャージで寝るのは珍しい事ではない。
問題は上だ。

「別にいいでしょ…女しかいないんだから」

雫は黒のブラを一枚着けているだけだ。

「恥じらいを持ちなさい…」

眉を顰めた翡翠。だが、雫はどうしてここまで追求してくるかわからない。
こういうのは、やはり家の環境というものから学んでいくもの。
娼婦の母と詐欺師の父はいつも全裸だったし、育ての父はいつもパンツ一枚で寝ていた。
雫もそれに習ってこういった格好で寝るのだ。
真夏は当然の如く、上下で下着一枚だ。大体昔から馴染んだものを急に変えるのは無理な話なのだ。

「翡翠って日本人じゃないよね?」

「日本人に見えて?」

「まったく」

(外国人ってもっとオープンなイメージあるけどなぁ)


と雫は心で思うも、口に出せば十中八九『全員が全員じゃない。決め付けるな』と答えが返って来るだろう。

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