17歳の不良と6歳の殺し屋
だが、あともう一歩の所でビュンッ!と風を切る音がしたかと思えば何かが弧を描くように迫ってきた。雫はすぐさまその物体に銃口を向けて放った。それはほんの少し掠った程度で故障させる事は出来なかったが雫は攻撃を防ぐ事が出来た。
降りたった雫に向けられるのはナイフ。だが近距離で雫の右に出る者はない。雫は肘で相手の手首を打った。飛んでいく拳銃。にぃっと雫が笑うのも束の間、間抜けな声が響いた。


「はい、ストップなの」


そこにはダランッとした男の腕よりも倍は太い鞭を持ったコルダが立っていた。

「…制限時間…?」

少し呼吸が荒い雫が汗を地に落としながら問いかけた。

「ううん。ゲームオーバーなの」

「は?!!」

「周りをよくみるの」

雫は言われた通り周りを見渡した。木漏れ日から見えるキラキラと光る何か。
それはまるで滴が濡れたクモの巣のような。


「…糸?」



「ただの糸じゃない。触れたらナイフみたいに切れるの」


それが雫の周りを覆っている。
雫ははぁ、っと溜息を吐いた。


「降参」


そして両手を挙げる。

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