先輩と私。
◎ 恋人
*
先輩と初めて会ってから、1週間が経った。
あれから先輩は1回も裏庭に来ない。
…やっぱ嫌われちゃったのかなぁ。
机につっぷして、ため息をつく。
ってか私、なんでこんなに先輩のこと気にしてんだろ?
別に、先輩にどう思われようが、関係ないのに…。
でもそう思うと、胸がチクっと痛む。
これって…。
「恋だねぇー」
「み、ミサ!?」
美咲の声に反応して私は無意識に起き上がる。
私の気持ちをまるで全部読み取っているかのような顔をして、
私の席の真横に腕を組んで立っていた。
「いたんだ…」
「さっきからずっと桜のこと呼んでるのに無視なんだもんっ」
「無視じゃなくて、考え事!」
「だから、恋してるんでしょ?」
何もかも、見透かされてる…!
「恋…っていうか、自分でもよく分かんないんだぁ」
「…へぇ。 でもさぁ、相手がいない時まで相手のこと考えちゃうなんてさ、恋以外考えられないじゃん」
「確かに」
恋…なのかな。
私は自分でもよくわかんない。
だけど。
あの時の胸のときめきは本物だと思う。
私の名前、“桜”を褒めてくれた、
あの時は…。