朝陽
沈んだ空気のまま、コスプレ大会は結果発表となる。
優勝者のいたクラスが、温泉旅行にいけるのだ。
頼む。必死にお願いする。
近藤校長先生がステージにのぼる。
「第一回桜ヶ丘高校コスプレ大会の優勝者は・・・
3年4組の藤堂平助くんだ。前に出てきてください。」
・・・。
隣にいる平助の顔を見る。
強張っている。
ゆっくりと席を立ち、ステージに上る。
「平助くんは男なのにもかかわらず、女の子よりも女の子らしく、我々の心を鷲掴みした。その名誉をたたえて、クラス全員の温泉旅行と、賞状を送る。」
平助はそのまま賞状をもらって、席に戻ってきた。
その顔は、今にもキレそう。
額に青筋を浮かばせて、必死に耐えている。
よほど気にしてたもんね。
『女の子よりも女の子らしく』
・・・まさか、平助が優勝するとは思いませんでした。