ガラクタのセレナーデ
「桜の花びら。真くんが大好きで、くっついて来たんだ」
 言いながら、真を見下ろして笑う。

 真はそんないろはを不思議そうに見詰め、それからゆっくりと視線を落とす。


 真の目の前には、いろはの胸があった。


 まるで吸い寄せられるように、真の左掌がいろはのその片方の膨らみに触れた。
 途端、いろはは腰を落として正座し、身を仰け反らせて両手で自分の胸を覆った。

「ごめんなさい、ごめんなさい。オッパイ触ったらダメ、オッパイ触ったらダメ」 
 真は頭を両手で抱え、怯えたように肩を震わせ、繰り返す。

「真くん、大丈夫よ、びっくりしただけ。だって先生、男の人に胸触られたことないから……」
 取り乱す真を前に、つい余計なことまで言ってしまい、いろはは苦笑する。


 真は少しだけ顔を上げ、自分の両前腕の隙間から、いろはを覗き見た。


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