ガラクタのセレナーデ


 4月末、毎年恒例の『青空フェスティバル』が開催される。

 市の大運動場に、この辺りの福祉施設が出店する出店が所狭しと並び、特設ステージではキャラクターショーやダンスショーが、一日中繰り広げられる。

 若葉園も毎年、このイベントに参加する。
 今年はお好み焼き屋を出店していた。


 真は入所して間もないため、今回は店の手伝いはせず、客としてこのイベントを楽しむことが許された。

 真の付き添いはもちろん、真の担当者のいろはであった。

 いろはは内心『ラッキー』などとほくそ笑んでいた。


 大きなリュックを背負った真の手を引き、いろはは場内を上機嫌で散策する。

「いいわね、仕事しないでフラフラできて」
 店の準備を手伝っている時、瑞希に言われた嫌味を思い出して、ふふんと、思わず笑みがこぼれた。


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