ガラクタのセレナーデ
 由羅は若葉園に入所して半年ほどで、遠方の資産家の家に、住み込みの家政婦として雇われることになった。

 若葉園は、身寄りのない障害者をも受け入れ、さらに職業斡旋をも積極的に行っていた。
 その良心的な活動に惹かれ、いろははこの施設への就職を希望したのである。

 由羅の就職を、いろはは誰よりも祝福し、そして自分のことのように喜んだ。

 だがどんなに頼み込んでも、若葉園の社長、箕浦(ミノウラ)は、由羅の新しい連絡先を教えてはくれなかった。


「由羅さんは、たった一人きりで遠い地へ行ったんです。
 きっと今頃、心細い想いをしているはず。
 だから励まして、元気付けてあげたいんです。
 せめて電話番号だけでも……」

 縋るように言ういろはに、箕浦はやや迷惑そうに顔をしかめて見せ、

「お前が下手に慰めて、由羅がホームシックにかかったら、それこそ困るだろ?
 そっとしておいてやるのが一番だ。
 やっと見つかった由羅の居場所を、お前は奪いたいのか?」

 と、有無を言わさぬ強い口調で言った。



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