ガラクタのセレナーデ
 何も答えず、背の高い真は、ポカンとして隣のいろはを見下ろした。

「先生はお腹空いた。真くん、一緒にお好み食べよう」
 言いながら、真の手を引いて歩き始めた。



 お好み焼きを二つ買い、そこから数m離れた場所に空いているベンチを見つけ、いろはと真は並んで腰掛けた。

「アツアツだから、気をつけて」
 そう微笑んでいろはは真に、買ってきた二つのお好み焼きのうち、一つを差し出した。


 真が自分のすぐ横に置いたリュックから、水筒を取り出すのを見て、
「あっ、先生もお茶買ってくるね」
 言って、いろはは立ち上がった。

「真くん、ここに居てよ。絶対どこにも行かないって約束して」
 真と向かい合い膝に両手をついて身を屈め、視線の高さを合わせていろはは言った。

「約束」
 真はそんないろはを見詰め、ポツリと答えた。


< 17 / 56 >

この作品をシェア

pagetop