ガラクタのセレナーデ


 いろはが戻ると、真の隣に見知らぬ若い男が腰掛けていた。
 それを目にした瞬間、いろはは大慌てて走り出した。

 男は真の方を向き、何やら話しかけている。
 だが真は、無表情のまま男の方など見ず、それどころか、まるで彼の存在にすら気付いていないかのように、お好み焼きにかぶりついていた。

「あなた誰ですか?」
 その男の目の前に立ち、敵意剥き出しでいろはが言うと、男はすぐさま立ち上がり、いろはに席を譲る。


「どうも、初めまして。
 警視庁の有坂です。ちょっと伺いたいことがありまして……」
 スラリと背の高い男――有坂は、睨みつけるいろはに、余裕の笑みを浮かべて身分を名乗った。

「刑事……さん? 刑事さんが真くんに一体何の用が……」
 たちまち緊張を緩め、いろはは気の抜けた声で尋ねた。

「『真くん』……ああ、彼?」
 言いながら有坂はチラリと真を見やり、すぐまたいろはに視線を戻す。

「彼に用というより、どちらかというと、あなたに」
 そう続け、愛想よく笑った。



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