ガラクタのセレナーデ
「私に?」
 心当たりのまるでないいろはが目を丸くすると、「まぁどうぞ」と、有坂は先ほどまで自分が掛けていた真の隣を手で指し、いろはに座るよう勧めた。

 いろはが言われるまま腰を落とすと、有坂は向かい合うようにしてしゃがんだ。

「何ですか? 聞きたいことって」
 いろはが急かすように言う。

「先ずはそれ、食べちゃってください。
 食事中はちょっと……」
 言って有坂は、いろはが手にした食べかけのお好み焼きに目をやった。

「そんな風に見られてると、食べづらいです」
「ですよね」
 調子よく同意して、有坂は立ち上がった。

「俺、そこで一服してきます」
「場内全て禁煙です!」

「厳しいなぁ」
 有坂は照れくさそうに言い、苦笑した。



「一月前、福井県の足羽川(アスワガワ)河川敷で、身元不明の遺体が発見されました。
 写真の女性に心当たりないですか?」
 唐突に一枚の写真をいろはに見せ、有坂は尋ねた。


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