ガラクタのセレナーデ
 それは、女性の顔だけを写したものだった。

 穏やかに眠っているようにも見えるが、話の流れから、それが遺体であると確信したいろはは、思わず息を詰まらせる。

「すみません、生前の写真がないもので……
 これでも厳選した一枚なんですよ」
 有坂は申し訳なさそうに苦笑した。


「美奈ちゃん……野々山 美奈子さん、だと思います」
 声を震わせ、いろはは涙ぐむ。

「ご存知なんですね?」
「以前、若葉園に通っていて、二年前に働き先が決まって……
 てっきり元気にやっているもんだと」
 それ以上続けることができず、いろはは口をつぐんでしまった。

「その働き先、どこかわかりますか?」
「いいえ。遠くへ就職が決まった方の行き先は、決して私たちには教えてもらえないんです。
 連絡先さえも。

 社長の箕浦なら知ってるはずです。
 箕浦さんに聞いてください」

「いえ、もう充分です」
 有坂は立ち上がり、
「ご協力に感謝します」
 と軽く頭を下げると、いろはに背を向け瞬く間に人混みに呑まれて消えた。


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