ガラクタのセレナーデ
 一体、あの刑事は何が知りたかったのか。
 いろはの中に疑問が残る。

 そして、有坂に突きつけられた真実は、


 あまりに悲しいものだった。



「ねぇ、真くん、さっきの男の人と何話してたの?」
「わからない」
 素っ気無く真は答え、いろはの疑問は益々深まるばかり。

 いろははしばらくの間、目の前を行き交う人々をただ呆然と眺めていた。


「あ、そうだ、コレ」
 思い出したように、いろはは上着のポケットから小さな紙袋を取り出した。

「真くんにプレゼント。みんなには絶対内緒だからね」
 その紙袋を真の膝の上にのせ、いろはは悪戯っぽく笑った。

 真は、それを手に取ると、不思議そうにいろはに視線をやる。
 そして、再び視線を戻すと、何も言わず袋を開け、中のものを取り出した。


 それは――
 真が飽くことなく眺めていた、ガラスの兎。


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