ガラクタのセレナーデ


 また一人、入所者の遠方への就職が決まった。
 かっちゃんこと、尾上 勝子(オノウエ カツコ)。
 無駄だとわかっていて、今回も、連絡先を聞こうと、いろはは箕浦の姿を探した。

 すぐ隣の部署担当の同僚に、少しの間、いろはが担当している部署も一緒に見てくれるよう頼み、箕浦専用の部屋へ向かった。

 ノックして扉を開ける。
 箕浦が不在の時、この部屋はいつも施錠されているので、部屋に箕浦は居るものだと、いろはは確信していた。

 だがそこに居たのは、箕浦ではなかった。
 椅子には腰掛けず、立ったままデスクのパソコンに向かっている男。

 男は、ドアが開く音に、視線をパソコン画面からこちらに移した。
 そして、『見つかっちゃった』とでも言うように、悪戯っぽい笑みを浮かべた。



「何してるの?」
 驚ろきと戸惑いから、いろはの口調はつい厳しくなった。
 いろはの険しい表情を見て、侵入者は悲しそうに目を伏せて俯く。

 そこに居たのは、
 先ほど、手洗いへ行くと言って席を立った



 真だった。


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