ガラクタのセレナーデ
「どうやって開けた?」
 問い詰める箕浦の探るような鋭い視線に、いろはは痛みすら感じた。

「最初から開いていました」
「俺は確かに鍵をしめた。そんなはずない」
「え?」
 たちまちいろはの思考回路は絡み合って混乱し、パニックに陥った。
 必死でそれを紐解こうと、思考を巡らす。

 いろはにピッキングなどできるはずもなく、真には尚更不可能だろう。
 ならば、箕浦が鍵を掛け忘れたと考えるのが、この場合、最も自然だ。

 だが、今の箕浦にそんな指摘をしようものなら、逆鱗に触れて大変なことになるだろうことは、容易く予想できた。
「本当に開いていたんです。信じてください」
 縋るような視線を箕浦に注ぎ、訴える。

 無意識に涙が一筋、いろはの右目からこぼれ落ちた。

「やましい事がないなら、何故泣くんだ?」
 だが冷ややかに見下ろし、箕浦はさらに問う。

「私はただ、聞きたいことがあって、それで箕浦さんを探していただけです。
 部屋に鍵が掛かっていなかったので、てっきり箕浦さんが居ると思い込んで、扉を開けてしまいました。
 すみませんでした」
 ただ謝ることしか、この時のいろはにはできなかった。





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