ガラクタのセレナーデ
 訳もわからないまま、それでもいろはは、電話の男の言葉に従った。
 自宅に帰るなと言われても、行くところなどない。
 仕方なくいろはは、そこから歩いて5分ほどの所にある、ビジネスホテルへと向かった。

 だがその途中、背後からハンカチのような布で口を塞がれ、薬品の匂いが頭の中に充満するような感覚と共に、いろはの意識は遠退いた。




「おい、その女、始末しろって言われたろ?」
 男は、腹立たしげに言った。

 ようやくいろはは意識を取り戻すも、全身が麻痺して目を開けることさえできない。
 ただ音や声だけが、いろはの耳に届く。

 どうやらベッドの上に寝かされているようだ。
 そして、全身にシーツが触れる感触があり、いろはは自分が全裸か、もしくは下着姿であると悟る。

「見ろよ、この女、案外いい身体してやがる。
 高く売れるぜ。
 黙ってりゃバレねぇさ」
 別の男が上機嫌にそんな言葉を返した。


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