ガラクタのセレナーデ
 どうしたらいいのか。
 この金髪の男は信用できるのだろうか。
 もしかしたら、また別の犯罪組織に拉致されたのかもしれない。

 そんな不安が、いろはの中でざわめく。

 猜疑の視線を男に向けるが、男は何も言わず、無表情のまま見詰め返してくる。


 『やっぱり、真くんに似ている……』


 他人の空似にしては、似すぎている。
 男を見ていたら、そんな思考に脳内を支配されてしまい、いろははもう一度尋ねた。
「生き別れた双子の兄弟とか、いたりしない?」

「さぁ……」
 男は素っ気無く答えた。

「あなたにそっくりな人を知ってる。雰囲気は全然違うけど、でも、
 顔は全く同じなの。

 あなたは……誰?」

「赤の他人に『誰?』と聞かれて、
 何て答えればいい?」
 男は逆に質問を返した。

 男の冷ややかな薄い笑みに、何故だかいろはは切なくなった。 


< 32 / 56 >

この作品をシェア

pagetop