ガラクタのセレナーデ

「そうしたいなら、
 どうぞ」

 いろははベッドから両足を降ろし、スッと立ち上がる。
 座ったまま不思議そうに見上げている男を尻目に、着ているスエットを自ら脱ぎ始めた。

「あんた、やっぱおかしいよ。
 処女のくせに……
 なに粋がってんだよ?」
 焦燥しきって、男も立ち上がった。

「あなたに助けてもらった身体だから……
 あなたの好きにしてもらって構わない」
 下着姿になったいろはは、男を真っ直ぐ見詰めて言い切った。


 途端、男はいろはの背後に回り、後ろからいろはを抱きすくめた。
「じゃ、遠慮なく」
 軽い口調でそう言うと、男はいろはの首筋から肩にかけて、唇を這わせる。

 緊張のため硬直しているいろはに、
「力抜けよ。ヤル気が萎える」
 耳元で囁いた。

 そして、いろはの顎をクイと持ち上げ横を向かせると、いろはの肩越しに唇を重ねた。

 ベッドの上で、いろはの全身の輪郭を優しく伝う男の手に、唇に、
 いろはの意識は朦朧とする。

 名前も知らない、出会ったばかりの男に抱かれているというのに、その初めて味わう甘美な行為に、いろはは幸福感すら感じていた。



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