ガラクタのセレナーデ
 そこまで言われてしまうともう、断る理由は無くなってしまった。
 しぶしぶいろはも席を立った。



 トイレに入るなり、真はその中のさらに個室へ、強引にいろはを引き込んだ。
「どういうつもりだよ」
 いろはを壁に乱暴に押さえ付け、身動き取れないようにして、男が腹立たしげに問う。

 その表情は、昨日見たあの男の、荒々しく攻撃的なものにすっかり戻っていた。
 いろはは一瞬だけ怯むも、すぐに目の前の男を見上げるようにして睨み付けた。

「あれだけ言ってもまだ、わかんねぇか?
 あんた、バカか?」
 いろはは何も答えない。

 それに益々苛立ったように、男はさらに語気を荒げて言った。
「面倒なことになるのを承知で助けてやったのに……
 あんたは俺のその苦労を無駄にする気か?」

「意味がわからない。
 面倒とか、苦労とか……
 自分の身は自分で守るわよ、放っといて」
 いろはは負けじと反発する。

 男は黙り、しばらくいろはを見詰めたまま、何か考えているようだった。


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