ガラクタのセレナーデ
瑞希からの電話で、いろはは施設に呼び戻された。
刑事が職員一人一人に事情を聞いているから、とのことだった。
「箕浦の野郎、裏で人身売買なんかやってたらしいよ。
私ってば、とんでもないとこで働いてたもんだ」
悔しそうに瑞希が言った。
「でも私たちは、誠心誠意を込めて、ここの人たちと向き合って来ました。
その事実は、決して無駄になんかならないですよ」
いろはは、そう言って、唇を噛んだ。
チロの体から、箕浦が必死で隠滅しようとしていた、顧客リストが出てきたら……
ここの元入所者で、遠方に売られてしまった人たちは、無事保護されるはずだ。
だが、芹沢由羅と野々山美奈子はもう帰らない。
二人を想うと、いろはの目から、堪らず涙が溢れ出た。
そんないろはを横目で見やり、瑞希がポツリ、ポツリと話し始めた。
「私さぁ、金のためだって割り切って、今までこの仕事やってきた。
ここに通ってる人たちの世話も、ただ仕事だから、仕方なくって思って。
でもさぁ、箕浦が裏でこんな酷いことしてたって聞いて、
箕浦のこと、心底憎いって思う。
できることなら、殺してやりたいぐらい……」