ガラクタのセレナーデ
「黒川さんも、きっとみんなのこと、
 愛してるんですよ」
 いろはが、嬉しそうにえへへと笑う。
 それにつられるように、瑞希も照れくさそうに微笑んだ。

「あ~あ、私、人生の3分の1は無駄にしたなぁ……」
「まだまだ、たっぷり時間はありますよ」
 いろはが悪戯っぽく笑う。

「ちょっとぉ、菊島さん、
 私に結婚はするなって言いたいの?」
「はい、そうです。
 二人で仲良く、一生独身を貫きましょう!」

「いやよ、あんたと一緒にしないで!」
「そんな言い方酷いです!」
 二人は、悲しみを吹き飛ばそうとするかのように、意味もなくふざけては笑い合った。



 いろはが施設を出ると、門の所で真と有坂が話しているところに出くわした。

「終わったな、那智」
 有坂が真に向かってそう言い、いろはは咄嗟に足を止める。
 いろはの体を電気のようなものが走った。

「まだ終わってねぇよ。
 全ては……


 始まったばかりだ」


 そう言って真は――
 那智は、有坂に視線をやり、彼の肩越しにいろはの姿を目にすると、慌ててすぐ視線を逸らした。


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