気まぐれ社長の犬
「ああ…今度うちが所属している会社が風間さんのグループに入るらしいんだ。この人はその社長だよ」
「ふーん…」
彼女は腕を組みじろじろと響城さんを見ている。
何この子?
生意気そうだし…
響城さんに失礼でしょ。
「あたし、心です。みんな“ここ”って呼ぶからそう呼んでね」
そう言って彼女は可愛く笑った。
「こら、ここ失礼だろ」
「別にいいですよ。ここちゃんよろしく」
「やったー!」
…なんだろ。
なんとなく苛々する。
さりげなく触れる手も、
その笑顔も…
…って私何考えてるんだろ。
大人げなさすぎるし落ち着かなきゃ。
「じゃあ僕たちはそろそろ帰ります」
「えーもう帰っちゃうの?」
「ああ。またね」
「今日はわざわざありがとうございました」
「いえ、こちらこそありがとうございました。それでは失礼します」
私は響城さんと一緒に頭を下げてテントを出た。
車に戻ると響城さんはふーっと息をついた。