カウントダウン
バイトは8時に終わる。
あれから飲み物を何杯かお代わりをして何やら作業をしている祐介を横目に働いて、終了した後言われた通り席についた。
「おまたせ、どうしたの?」
何度かこのファミレスで見かけた事はあっても、名前を知ったのは今日が初めてだし、何より悠斗の友達と二人っていうのが不思議で……一体何の用があるんだろう?
「……お疲れ。なんか頼め」
「へっ?な、何を?」
「何をじゃねぇよ。ハラ減ってんだろ?ああ、親にはメシ要らねぇって連絡しとけ」
理科準備室でのヘラヘラとした笑みはなく、綺麗な顔の眉間に皺がよってる祐介の姿。
「なんで不機嫌な男とごはん食べなきゃなんないのよ」
「別に不機嫌じゃねぇよ」
「だってここ、皺よってる」
自分の眉間を指差して伝えたら、祐介は目をキョロキョロとさせて少し黙った。
「元からこんな顔だ。悪りィかよ」
「別に悪くないけど、準備室と雰囲気違うなって思ったの」
「……弁当の、お礼。奢るからなんか食え」
「え……?」
いつの間にか眉間の皺がなくなって、祐介の表情が穏やかになった。
何が起きた?
「お礼されるようなお弁当じゃないよ。悪いからいいって」
「ここで断る方が悪くね?俺が奢るっつったら奢るの。分かったか?」
強引に勧められた上にまだ決まってもいないのにベルを押されて、慌ててたら祐介は準備室で見た意地悪な笑みを浮かべて、こっちを見ていた。