カウントダウン
「おはよー昨日はありがとー」
朝一番で盛り上がる話題は優衣たちカップルの事。彼氏さんは他校の先輩で、その友達狙いの女の子達が群がる群がる。
あー、確か爽やかな人がいたような……。
「そうそう彩音ちゃん、昨日あんたの彼氏が他の女と歩いてたよ?マジいーわけ?アタシぶん殴ってやろうかと思った」
「あははっ大丈夫、心配ありがとね」
ぶん殴ってやろうかと思ったという彼女は、仲のいいグループの女の子じゃない。
つけまつ毛バサッバサでくるくる巻き毛がキュートのいわゆるギャル。
だけど、ウチのクラスはどーゆー訳か悠斗に手を出す女子がいない。
遊ばれるのなんて女のプライドが許さない、とか、彼女持ちには興味ない、とか、愛するダーリンがいる、とか、理由は様々だけど、とにかく女子はどんな子も助け合ってて仲がいい。
本当に奇跡のクラスだよ。
嫌な事も緩和する。
授業は相変わらず退屈だって思っちゃうけど、今日もまた、お昼休みはやって来る。
4時間終了のチャイムが鳴ると何故か、今までにないくらい心臓がドキドキと脈を早める。
「あれ?彩音鏡見すぎじゃない?」
「優衣、変なところない?」
「ないよ。彩音は私の自慢の友達。ちょーっとだけ男運がないのが残念だけど」
「はいはい、優衣の彼氏さんは素敵ですー」
「知ってる」
「そのどや顔ムカツク!男運のない私はちゃっちゃとお弁当運搬してきますー」
「彩音ー、笑顔で自虐しないの。切なくなる」
「ハイハイ。行ってきます」
少しでも多くお喋りしてないと、今日はなんだか緊張に押し潰されそう。
何だろう、私……祐介に何て言われるのかが気になって仕方がない。
もし、悠斗がいらないって言ったら本当に貰ってくれるんだろうか?
ドキドキ、ドキドキ、緊張する。