【短篇】こ い い ろ 。
「……裕也」
くるりと後ろを向いたその人は、やはり裕也だった。
「よお」
「……何してんの」
「サボリ」
「嘘だ。いつも真面目に授業受けてるじゃん」
「お前が思う程、俺は真面目じゃねぇよ」
とりあえず隣こいよ、と言って裕也はその場所をぽんぽんと叩く。
裕也は階段に座っていて、その隣に座れということらしい。
思わず逃げようとする、でも裕也に腕を掴まれた。
思わずびくりと肩が跳ねる。すると裕也は
「なんなんだよ、お前」
昔と変わったもんだよな、と笑ってみせた。
その笑顔に私は何故か安堵して、ぽすりと隣に座った。