【短篇】こ い い ろ 。
それから午後の授業全部、屋上でサボって。
もう放課後。雲は青空を流れている。
屋上で仰向きに寝転がった私は、ただそれを見つめていた。
……なんで、あの時涙が出たの?
自問自答。繰り返しても返事は返ってこない。
嫌い、裕也なんて大嫌い。あーもう死ね。
我ながら酷いと思うが、裕也のことを思えば大抵そういう言葉しか出てこない。
畜生、急に色気づきやがって。中学生の頃の可愛さがピークだったのね。
なんであんなのと去年まで一緒に帰ってたんだろう。
中学生の頃の自分は本当におかしい。受精卵からやり直したい。
もう、それくらい嫌い。
嫌いで仕方ない、はずなのに……
むくりと起き上がって屋上から出て、階段を下りると
見慣れた後ろ姿が、そこにはあった。