7days
「警察は、お兄ちゃんを疑っているんですか?」
沈黙が流れる。
私は窓から見える外の世界を見たまま。その窓にクッキーを口に加える中野さんが写っていた。
口に加えて動かないまま。何かを考えるように一点を見つめたまま。
「第三者のいた痕跡がない」
ぽつり、と中野さんが言った。
「中野さん、」
それを制すように龍ヶ崎さんが中野さんの名前を紡ぐ。
「これぐらい良いだろ。それに、詳しいことはもう家族側に話している」
「詳しいことって?」
「どうしてお前の兄ちゃんを容疑者として疑っているか」
「どうして疑っているんですか?」
「それは婆ちゃんか爺ちゃんに訊け」
そう言って中野さんは何でもなかったように、再びお菓子を食べ出した。
何だか負に落ちないので、そのお菓子を取り上げたら中野さんは子供のようにふてくされた。
後ろで龍ヶ崎さんが笑いを堪えていた。